UFCライブラリー

ファイトパスを楽しみきるブログ。

JESSICA EYE VS MAYCEE BARBER UFC276

JESSICA EYE VS MAYCEE BARBER フライ級5分3ラウンドマッチ
30-27 29-28 29-28 3-0 BARBER

この戦いでJESSICA EYEは引退。
途中でブーイングもわくような展開だったが、MMAUFCのおもしろさが詰まった試合だったのでレビュー。
35歳のEYEとUFCで三番目に若いMAYCEEのフライ級マッチ。ベテランと若手のマッチアップだったが直近5戦で、1勝4敗のEYEは、入場から思い詰めた表情。
EYEはタイトル挑戦の経験もあるイケイケのストライカーだったが、この試合は完全に打撃を捨てたようなとにかく組にいく展開を見せた。
1Rは打撃からクリンチして、JESSICAをケージに押し込むも有効な打撃を入れられず、クリンチではスペースを作られて、有効な肘を入れられてポイントを落とす展開に。
2Rは同じ展開から2分半頃なんとかテイクダウンし、後は有効な打撃はないまでもドミネイトして、審判の内2者がポイントをEYEにつける結果に。
しかし3Rはテイクダウンすることもできずに打撃で押し込まれ、3ー0の負けとなった。
負けたEYEはグローブをはずし、2009年からの13年のキャリアを終えることになった。

最初から打撃の撃ち合いを避ける展開から、EYE陣営は打撃戦を放棄しているような戦略を立てているように見えました。これは年齢によるものなのか、あるいは負けがこんでいるなかでメンタル的に打ち合いがよくないからなのか。または、なにか大きな怪我があったのかもしれません。ともかくストライカーのベテランは、徹底して組付の戦略に行くことになったのです。
女子の試合は、打撃の威力が弱いため、打撃のプレッシャーがそこまで強くなくても、組付がうまくいくイメージがあります。またEYEのストライカーとしての実績が圧力になったのかもしれません。
結果として組み付きは成功しましたが、そこからの展開を作れず、打撃でも削られて判定負けとなりました。
でもこれがMMAのおもしろいところですし、層が厚いUFCのおもしろいところです。
これがキックボクシングなどであれば、もうEYEは戦略の幅もないですし、反応の悪くなったストライカーが、イケイケの若手に組み勝負にいくのもとてもおもしろいと思うのです。
ひたすら組み付きで押し込むだけのEYEに2Rからブーイングがわいていましたが、なんとか打開していこうという総合的な技術のぶつかり合いと、人生の悲哀を感じるのがおもしろいですよね。
シンプルな殴り合いをみたいのであれば、K1をみればいいんです。積み重ねてきたキャリア、人生がぶつかり合い、勝者と敗者が別れる。これが総合格闘技のおもしろさ。

それが存分にわかる、すばらしい試合でした。